2023年12月05日
DSS MSD ―ヘッドギア編―

近年の装備ではヘッドギアにヘッドセットを組み込むセットアップが主流です。無線の内容はスピーカーかイヤホン(ヘッドセット)で傍受しますが、戦闘中の環境音も非常に肝心です。
また、アイウェアは爆発物の破片や粉じんなど視覚を保護したり、レンズカラーによって環境に合わせた適切な視力保持に繋がります。
今回はそれらについて紹介します。
【ヘルメット】
DSS MSDでは2013年から3回ヘルメットの更新を行っているようです。
Modular Integrated Communications Helmet 2001

現段階確認できる公開写真で一番古いもので、元々は米陸軍特殊作戦群(USASOC)向けに開発されたものです。MICHシリーズのハイカットバージョン、TANカラーになります。
また、ヘッドセットはPeltor COMTAC 1を使用しています。

シュラウドはOps-Core VAS Shroudを装着しています。

2017年頃にDSS MSDを象徴するヘルメットが配備され始めました。
Team Wendy “EXFIL 2.0”


登場初期はCBでしたが、2018年にかけてRGへ移行が進むとそれに合わせて更新されていました。
CBのEXFIL×Scarab LT、RGのEXFIL×Scarab ULVで2017年以前か2018年以降を区別できるキーアイテムです。

ヘッドセットはPeltor “COMTAC 3 Hearing Defender”へ更新が始まりました。

通常のComtac 3と異なり、NATO規格のスピーカープラグのないものです。
これには理由があり、DSS MSDではチューブ型イヤホンやスピーカーマイクなどを使用するためだと考えられます。
基本はパッチ以外つけないのがセオリーですが、使用例としてはこのようなものがあります。
INFORCE “WML Gen.1”

Smith Optics Elite “Boogie Regulator Goggle”

CORE Survival “Hel-Star 6 Gen.3”


これは味方識別用のIRストロボです。
2018年~


装備全体のRG統一に伴いEXFIL 2.0もRGへ置き換わりました。
基本的なセットアップは一緒ですが、登場初期よりも盛るスタイルは減ったように感じます。
2021年、更にヘルメットが更新されました。
GALVION “CAIMAN BALLISTIC HELMET”


奥の隊員がRG、手前がOD塗装
使用例ではRG(OD?)色でベルクロ部分がタンカラーなので、塗装して使用していると思われます。
RGの使用例もありますが、圧倒的に塗っている隊員が多いです。
しかし、登場したてということもありまだ母数が少ないのでこれからの動向に注目です。
ヘッドセットは上記のComtac 3のODとの組み合わせが多いと思います。
ヘルメットとヘッドセットを別々に装着する方法は以前からありましたが、より利便性を高める為にPELTOR “ARC HEAD SET SIDE RAIL MOUNT”と組み合わせることが多くなりました。


このスタイルはEXFIL 2.0でも度々登場しています。
NVG(Night Vision Goggle)、通称暗視装置ですがDSS MSDではNIGHT VISION DEVICES “BNVD-SG”を使用しています。

マウントはWilcox “L4G24”です。



CaimanにはBK、EXFILにはFDEの使用例がそれぞれあります。
【アイウェア】
使用例から考察すると、Oakley Si Ballistic M-Frameが支給品と思われます。
2021年頃から3.0、それまでは2.0が使われています。



こちらはブラックのレンズを使用しています。
最新の使用例だとGATORZ “Magnum”の使用例も多数あります。


他にも私物でサングラスを使用している隊員も多く、有名なRay-Banなどが見られました。


余談ですが、DSS MSDには女性の隊員も少なからず存在します。
代表的な例を紹介しましたが、年代によってはまだまだ紹介しきれないほどの使用例があります。プレートキャリアと同様にヘッドギアも選択肢が広く、年代に合わせた装備で再現度がぐっと高まります。
2023年11月27日
DSS MSD ―ユニフォーム・プレートキャリア編―
はじめに
【ユニフォーム】
基本的なユニフォームはCrye製ですが、RGに統一される以前の2013年から2018頃まではG2*と呼ばれるものを使用していました。
Crye Precision AC Combat Shirts & Pants

肩のベルクロ部分が面状なのが特徴です。
2019年から同社製の後継ユニフォームに切り替わりました。
Crye Precision G3 Combat Shirts & Pants


肩にある帯状のベルクロ部分や、腰回り、ポケットなどのフラップ内側のベルクロの刺繡が異なるようです。
【プレートキャリア】
こちらの写真で使用されているプレートキャリアがDSS MSDでは使用例が最も多く見られるものです。
Velocity Systems “Scarab ULV”



主に2018年頃から登場し、各支局で多くの使用例があります。この頃からレンジャーグリーン一色の装備が見られるようになり、一世代前のFBIやATF SRT、U.S. Marshal SOGなどの多くのRGを主とした装備とよく似ています。
しかし2023年現在、一般販売はされず官給品のみで市場に流通しておらず、入手することは非常に困難です。
そこで以下のプレートキャリアで代用することができます。
Velocity Systems “Scarab LE”

こちらは一般販売されている同社製のプレートキャリアで、入手も安易です。
また細かな仕様が違いますが、こちらもプレートキャリアとしての性能は十分高いのでおすすめです。
具体的には
①使用するプレートがULVでは専用品であるのに対し、LEでは一般的なSAPIプレート
②カマーバンドがメッシュ構造、両表ウェビング縫い付け(LE)
③ULVではカマーバンドがサイドプレート対応、内側に伸縮性の高いポーチ付き
などのDSS専用カスタムが施されています。生地や素材のデニール数(500D)は同じで、どちらも甲乙つけがたい良い点があると思います。
どちらのScarabもショルダー部分がよくできていて、ライフルの構えやすさや肩の可動範囲の広さを感じることができます。
Velocity Systems “LOW VIS ASSAULT CARRIER”

これはULV(Ultra Low-Visibility)カットと呼ばれる同社独自のプレートを使用するものです。Scarab ULVとはこの製品とScarab LEを融合させたものだと断言できます。
主な違いはScarab共通で採用されているDリングと呼ばれるショルダーパッドの可動部をリング状にし、可動域を広くする機構が備わっていないことと、背面のカマーバンドの固定方法や前後パネルのベルクロの刺繍が異なっています。
また、DSS MSDではScarab以外のプレートキャリアの使用例も多く見られます。
Crye Precision “JPC 1.0"



FBI SWATでも使用例が見られるJPC 1.0です。
特徴は背中にZIP-ONが未対応でショルダー部分にエマージェンシー用のプルタブがありません。
汎用性も高く入手しやすい上、レプリカが存在するので代用も可能です。
Spiritus systems LV119 Overt


使用例は少ないですが同社のプラカードシステムを採用したチェストリグキットでライフルマガジンの携行量を確保しています。背面の画像を探しています…。
Crye Precision “AVS"


実際に隊員が使用している画像は見つけられませんでしたが、こちらは展示用で使用されています。
PTTにSILYNXのC4OPS(現行型)を装着しているのは珍しいです。また、A&Aのクイックリリースキットを使用しています。
First Spear “AAC”


LV119と共に実際の使用例として最近出てきましたが、Scarab以外のプレートキャリア同様あまり多くの例は見られないようです。
2017年以前のプレートキャリア
DSS MSDの画像は2013年頃から多く見られるようになりましたが、前述したとおり現在とは一味違った装備を纏っています。

ユニフォームはG2を使用していましたが、ベルトキットやプレートキャリア、ヘッドギアまでもがコヨーテブラウンで統一されていました。
Velocity Systems “LOW-PROFILE ASSAULT ARMOR CARRIER”



2013年に出た画像ではこのプレートキャリアが現在のScarab ULVの立ち位置であったと思われます。
当時の背面にあるFEDERAL AGENTパッチは以前レプリカで販売していましたが、現在は絶版品のようです。


ちなみにこちらはCrye PrecisionのJPCを使用しています。2017年頃に見られた装備ですが、最近のRG色のJPCはここからルーツが来ているかもしれません。
Velocity Systems “Scarab LT”


これはScarab LEではなく、LTになります。
背面にZip-onが採用され前後ののベルクロ部分が若干異なります。(ウェビングの有無など)

カンガルーポーチと呼ばれるプレートとフラップの間に556マガジンが保持できるスペースを持っているのも特徴です。
特別捜査官のプレートキャリア(ソフトアーマー)
MSDには独特なプレートキャリアがありますがDSSの特別捜査官(Special Agents)にもある程度支給されるようです。
Velocity Systems “LOW-PROFILE ASSAULT ARMOR CARRIER”


CB[は以前のMSDの名残で、RGはそのフィードバックを受けて採用されたのでしょうか。
Velocity Systems “LOW-VIS CARRIER”


ULVカットを使用するモデルですが、前述のLVACよりもさらにスリックな形状です。
FBIで言われる“Gメン”のような立ち位置がDSSのスペシャルエージェントで、私服×アーマーという組み合わせは気軽に装備を始める良い機会になると思います。
DSS MSDではその重要さから最新鋭の装備、通信機器が支給されます。
現行のDSS MSDではレンジャーグリーンで統一された装備が特徴ですが、2018年頃まではコヨーテブラウンを取り入れた装備が主流でした。これからDSS MSDをやる方は、この時期を境にRGとCBのどちらを主とした装備にするか決めると良いかもしれません。
【ユニフォーム】
基本的なユニフォームはCrye製ですが、RGに統一される以前の2013年から2018頃まではG2*と呼ばれるものを使用していました。
Crye Precision AC Combat Shirts & Pants

2019年から同社製の後継ユニフォームに切り替わりました。
Crye Precision G3 Combat Shirts & Pants


【プレートキャリア】
こちらの写真で使用されているプレートキャリアがDSS MSDでは使用例が最も多く見られるものです。
Velocity Systems “Scarab ULV”



主に2018年頃から登場し、各支局で多くの使用例があります。この頃からレンジャーグリーン一色の装備が見られるようになり、一世代前のFBIやATF SRT、U.S. Marshal SOGなどの多くのRGを主とした装備とよく似ています。
しかし2023年現在、一般販売はされず官給品のみで市場に流通しておらず、入手することは非常に困難です。
そこで以下のプレートキャリアで代用することができます。
Velocity Systems “Scarab LE”

こちらは一般販売されている同社製のプレートキャリアで、入手も安易です。
また細かな仕様が違いますが、こちらもプレートキャリアとしての性能は十分高いのでおすすめです。
具体的には
①使用するプレートがULVでは専用品であるのに対し、LEでは一般的なSAPIプレート
②カマーバンドがメッシュ構造、両表ウェビング縫い付け(LE)
③ULVではカマーバンドがサイドプレート対応、内側に伸縮性の高いポーチ付き
などのDSS専用カスタムが施されています。生地や素材のデニール数(500D)は同じで、どちらも甲乙つけがたい良い点があると思います。
どちらのScarabもショルダー部分がよくできていて、ライフルの構えやすさや肩の可動範囲の広さを感じることができます。
Velocity Systems “LOW VIS ASSAULT CARRIER”

これはULV(Ultra Low-Visibility)カットと呼ばれる同社独自のプレートを使用するものです。Scarab ULVとはこの製品とScarab LEを融合させたものだと断言できます。
主な違いはScarab共通で採用されているDリングと呼ばれるショルダーパッドの可動部をリング状にし、可動域を広くする機構が備わっていないことと、背面のカマーバンドの固定方法や前後パネルのベルクロの刺繍が異なっています。
また、DSS MSDではScarab以外のプレートキャリアの使用例も多く見られます。
Crye Precision “JPC 1.0"



FBI SWATでも使用例が見られるJPC 1.0です。
特徴は背中にZIP-ONが未対応でショルダー部分にエマージェンシー用のプルタブがありません。
汎用性も高く入手しやすい上、レプリカが存在するので代用も可能です。
Spiritus systems LV119 Overt

使用例は少ないですが同社のプラカードシステムを採用したチェストリグキットでライフルマガジンの携行量を確保しています。背面の画像を探しています…。
Crye Precision “AVS"

実際に隊員が使用している画像は見つけられませんでしたが、こちらは展示用で使用されています。
PTTにSILYNXのC4OPS(現行型)を装着しているのは珍しいです。また、A&Aのクイックリリースキットを使用しています。
First Spear “AAC”


2017年以前のプレートキャリア
DSS MSDの画像は2013年頃から多く見られるようになりましたが、前述したとおり現在とは一味違った装備を纏っています。

ユニフォームはG2を使用していましたが、ベルトキットやプレートキャリア、ヘッドギアまでもがコヨーテブラウンで統一されていました。
Velocity Systems “LOW-PROFILE ASSAULT ARMOR CARRIER”



2013年に出た画像ではこのプレートキャリアが現在のScarab ULVの立ち位置であったと思われます。
当時の背面にあるFEDERAL AGENTパッチは以前レプリカで販売していましたが、現在は絶版品のようです。


ちなみにこちらはCrye PrecisionのJPCを使用しています。2017年頃に見られた装備ですが、最近のRG色のJPCはここからルーツが来ているかもしれません。
Velocity Systems “Scarab LT”


これはScarab LEではなく、LTになります。
背面にZip-onが採用され前後ののベルクロ部分が若干異なります。(ウェビングの有無など)

カンガルーポーチと呼ばれるプレートとフラップの間に556マガジンが保持できるスペースを持っているのも特徴です。
特別捜査官のプレートキャリア(ソフトアーマー)
MSDには独特なプレートキャリアがありますがDSSの特別捜査官(Special Agents)にもある程度支給されるようです。
Velocity Systems “LOW-PROFILE ASSAULT ARMOR CARRIER”


CB[は以前のMSDの名残で、RGはそのフィードバックを受けて採用されたのでしょうか。
Velocity Systems “LOW-VIS CARRIER”


ULVカットを使用するモデルですが、前述のLVACよりもさらにスリックな形状です。
FBIで言われる“Gメン”のような立ち位置がDSSのスペシャルエージェントで、私服×アーマーという組み合わせは気軽に装備を始める良い機会になると思います。
このように多種多様な装備をLEという枠組みの中で豊富に表現できるのがDSS MSDの最大の魅力に感じます。統制された中でのそれぞれの格好良さや際立った個性がいいアクセントになるのでぜひ気になった方は集めてみてはいかがでしょうか。
2023年11月26日
Diplomatic Security Service(アメリカ外交保安局)とは?

Diplomatic Security Service (略称DSS)とは、米国国務省の主要な法執行機関です。外交的な分野で犯罪を取り締まり、政府高官等の保護や組織犯罪など広い分野で対応します。
現在、DSSでは約2,500人が世界中で勤務しています。その大多数が外務省と法執行官を兼任しており、数年間海外での勤務を義務付けられます。
Bureau of Diplomatic Security(外交安全保障局)の管轄下にあり、主な犯罪捜査を行う部門です。
*同じ略称でDomestic Security Sectionというものがありますが、こちらは国内安全保障局です
DSSでは様々な分野の勤務形態があり、そのうちの一つが特別捜査官(DSSエージェント)と呼ばれる外務大臣などの要人保護や捜査を行うものがあります。
また様々な機関と連携しており、アメリカ海兵隊やFBI、CIAなど規模の大きな機関から、現地警察への指導や合同訓練など幅広い分野で活動します。
特別捜査官は国内では公務内外を問わず武器の傾向を許可されており、以下の武器が支給されるようです。
・Glock 19M, 26
・Remington M870
・Colt M4 Carbine
DSS MSD (Mobile Security Deployments)

DSS MSDとはDSS内の機動警備隊という部門で少数精鋭の専門的な戦術部隊です。
その大部分は海外で活動しており、同国大使館や領事館へ警備の指導、支援を行い特別エージェントの中でも更に選抜された隊員が在籍しています。
主な任務は要人保護であり、対テロ戦や人質救出作戦などにも対応するため特殊な訓練を受けています。
MSDは13のチームがあり、69名が3年交代で構成されています。また、それらは主に3つのチームに分けられており、それぞれMTT(訓練、指導)、SST(警護)、TST(支援)とあります。
米軍との合同訓練を行うことも多く、装備品や通信機器は常に最新なものを使用している環境を鑑みると、国務省が管轄する戦術部隊の中でも極めて重要な役割を期待されていると思われます。
